【有益な記事】深まるAIバブル懸念、歴史は繰り返すのか

  米オープンAIの拡大路線がハイテク株の高騰を演出する中、ほんの数分で時価総額を数百億ドル膨らませる株価の急騰ぶりがITバブルを彷彿とさせるとして、ウォール街のプロから警戒の声が強まっている。

「1990年代半ばの通信業界で起きたことを想起させる」

  アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価は6日の取引で24%急騰。高値では時価総額がおよそ1000億ドル(約15兆円)拡大した。OpenAIと人工知能(AI)インフラ構築に関する大規模な契約を締結したことで収益拡大への期待が高まった。

  先月にはオラクルが好調なクラウド事業の見通しを発表し、時価総額が1日で2550億ドル増加した。見通しにはオープンAIとの3000億ドル相当の5年契約が含まれる。

  ザックス・インベストメント・マネジメントの顧客ポートフォリオマネジャー、ブライアン・マルベリー氏は「これらの契約のいずれかが破談になれば、連鎖的な悪影響が波及しかねないと懸念している」と指摘。「1990年代半ばの通信業界で起きたことを想起させる」と語った。

【有益な記事】深まるAIバブル懸念、歴史は繰り返すのか

  足元の株高はAIバブル懸念が高まる中で起きている。中心的な役割を果たすエヌビディアやオープンAIが、AIインフラを手がける複数の企業と大型契約を次々に結んでいることが背景にある。
  投資が増えるほど、25年前のドットコム期のように、いずれはバブル崩壊へとつながるのではないかとの不安が強まっている。当時は、インターネット利用の急増を見込んで巨額の投資が行われたが、需要がその水準に達するまでには時間がかかり、市場は急落に見舞われた。

  痛みは1999年よりも大きいかもしれない。現在では、主要ハイテク株がS&P500種株価指数の約35%を占めており、当時の15%未満と比べて市場全体への影響がはるかに大きいためだ。

  ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「市場はまるで、オープンAIと取引する企業はすべて勝者になるかのように織り込んでいる」と指摘。その上で「オープンAIはキャッシュフローがマイナスの企業であり、こうした契約を結んでも失うものはない。投資家はもっと慎重であるべきだ。今は『まず買って、質問は後』という状況だ」と述べた。

  ヘッジファンド界の重鎮ポール・チューダー・ジョーンズ氏は6日、米経済専門局CNBCの番組で、現在の市場環境はITバブルを想起させると語った。
  何らかの過熱相場の急落が起こる全ての条件がそろっているとし、「再び起きるのか? 歴史は繰り返す傾向がある。形は違ってもまた起こると思う」と述べた。その上で、現在の環境は「1999年よりも爆発的な可能性を秘めている」と続けた。

  前出のマルベリー氏は、これらの契約の構造が循環的な資本関係になっていることが大きな懸念だと指摘する。つまり、企業同士が互いの資金を使って互いの製品を購入している構図だ。

  またこれほどの大企業の株価が大きく動くこと自体が警戒すべき事態だという。「非常に成熟した大規模なバランスシートを持つ企業」が足元の株高局面に参加しているのは「異例であり、少し立ち止まって考えさせられる」と同氏は語った。

  ハイテク大手の株価が急ピッチで2桁の値上がり率を記録する現状は、企業のファンダメンタルズから乖離しつつあり、「乗り遅れることへの恐怖(FOMO)」から買われている可能性を示している。

  ロバート・W・ベアードのテクノロジー・ストラテジスト、テッド・モートンソン氏は、オラクル株の急騰を受けて「価格発見のプロセスが実際のところかなり不気味だ」と述べた。
  「これほどの大企業が、これほど急速に時価総額を増やすのは正常でも健全でもない」とした上で、「これは熱狂の一部と呼ぶべきだ」と話した。(ブルムバーグ紙)
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