ユナイテッドヘルスが医療コスト急騰の不意を突かれ、大きな打撃を被る!

 米国医療保険の雄、ユナイテッドヘルス・グループが再び、三度の株価急落です。ホンニ『株価急落』の叫び、数多くて忘れました。
 ユナイテッドヘルスはまた、主要事業における長期の利益率目標も引き下げ、会社全体の長期成長目標については従来予想を維持しなかった。これは、現在直面している課題が当面解消しないことを示唆している。
 発表によると、2025年の調整後利益は1株当たり16ドルを予想。アナリスト予想の平均(同20.40ドル)および同社が今年4月に示した見通しを大きく下回る。4-6月(第2四半期)の利益も市場予想を下回った。

 ユナイテッドヘルスは4月、25年の調整後利益について1株当たり26-26.50ドルとの予想を示していたが、5月に入りその予想を撤回した。
 ニューヨーク市場でユナイテッドヘルス株は一時7.7%安。年初から28日の取引終了までで44%下げている。(ブルムバーグ紙) 
 赤字経営とまでは行かないが、従来のような成長路線は困難と見られています。
 しかし、同社の財務基盤は盤石ですから、まぁ暫く様子見ですね。下がれば買い増しする『斜め視線の姿勢』でいいんじゃないですか?
 保険契約者に課す保険料は年1回しか見直せないため、予想外の支出増に素早く対応する余地は限られている。ユナイテッドヘルスは、ウォール街が当然視してきた成長への回帰は2026年まで見込めないと説明した。

 ユナイテッドヘルスが抱える大きな問題は、同社が昨年の保険料設定時に想定していたよりも、米国民が多く医療サービスを利用していることだ。
 同時に、一部の政府プログラムでは補助対象者の要件が厳格化されており、支払いの仕組みも保険会社の利益を圧迫するような形で見直しが行われている。

 ただこれは、ユナイテッドヘルスに限った話ではない。エレバンス・ヘルスやセンティーン、モリナ・ヘルスケア、オスカー・ヘルスは全て、25年の業績見通しを引き下げ、ないし撤回している。
 各社とも、メディケイド(低所得者向け医療保険)やメディケア(高齢者・障害者向け医療保険制度)、医療保険制度改革法(ACA、通称オバマケア)に基づくプログラムといった政府の医療制度に絡んだ問題を理由に挙げている。

 先行きは一段と厳しさを増しそうだ。オバマケアに基づくプランへの加入を後押ししてきた税控除措置は、議会が延長しない限り来年に失効する。
 また今月成立した大型減税・歳出法では、メディケイドへの支出が約1兆ドル削減され、向こう10年間で無保険者が1000万人増加すると予想されている。(ブルムバーグ紙)