米テック・米半導体企業の負債状況等の考察...
某新聞社の週末記事に「テック・半導体企業の負債状況」に関する記事が掲載されていましたので、要旨を紹介します。
- 主要約1300社の有利子負債は1超3500億ドル(約200兆円)、これは10年前の約4倍までに膨らんでいます。
- 公になっている「急増の理由」は、人工知能(AI)需要を見据えて「データセンター投資」を急いでいるためであること。
- テック企業は「ソフトウエアを主とした持たざる経営」が売りですが、今般、データセンターといった「箱物建設」に向かわざるを得ず、企業経営の転機を迎えている。
世のカネ余りを地でいっている感じです。「借りたものは返す」は基本中の基本、いつもの如く金融市場で巻き戻しが発生すると、株価急落は火を見るより明らかです。しかし、私は『トランプ時代の4年間は持ち堪える』のではないか、と感じています。
- 米巨大テック5社の有利子負債額は4570億ドル(約69兆円)、10年前の2.8倍まで増加している。*もちろん、利益も数倍に増えています(笑)。
- 利益率は、嘗てのITバブル期(1990年代前期から2000年代初期、10%~20%程度)に比べると、S&P500種全体では36%と高水準になっている。
- 米テック・米半導体企業の市場支配力や製品の競争力は、嘗てのITバブル期と比較にならない程に、スバ抜けて高くなっている。
- 有利子負債が自己資本の何倍かを示す「負債資本倍率(DEレシオ)」が1倍を超える企業の割合は13.8%(10年前から4.9%増)
- DEレシオ4.62倍の米オラクルが発行した社債に、募集総額の5倍の申し込みがあった。
- 先端企業は「前のめりで先行投資」しているので、フン詰まりが発生すれば『万事休す』となりかねない。
- しかし、メタ社CEOは次のように断言し本音を語っています。『数千億ドルの投資が無駄遣いに終わったとしても、(AI開発競争に出遅れる)リスクはそれよりも高い』と...。
- 我々投資家が忘れてはいけないのは、『巨額投資が想定どおりの利益に繋がるの否かを確認できるのは、数年後であること』です。
- 米S&P500種指数は、最高値到達を頻繁に更新している。ここ半年間でさえ、約30回にも及ぶ。2025年内には7000台到達も囁かれている(笑)。
米オラクル株を指標にすると...
米オラクルの予想PERは、嘗てITバブルのピーク時に100倍を超えていました。バブル崩壊後、オラクルの株価は1/4へと急落しています。現在の同社PERは約40倍前後にとどまっているので、まだまだ『序の口』であると云える?
編集後記
米国株式市場のバリエーションが高まっているとはいえ、S&P500種の株価収益率(PER)は約22倍。テック系全体では約30倍に止まっています。2年前と比べて概ね2割程上昇していますが、依然として利益水準が高く安定しています。万が一、金融市場が崩壊するとしても「まだ数年先は大丈夫」と参加者は踏んでいます。 何故なら、オラクル株指標も示すとおり、未だ「万人に拠る熱狂レベル」まで到達していないからです。美味しい果実は、枝から崩れ落ちる寸前が【最も甘い】...。これって、いつの時代も同じです。靴磨きの少年が株価を気にするようになると【危険】らしい...。

