東証、10万円の取引を上場企業へ要請。新NISAでも買い易く...
報道によると、ようやく、手頃な価格で日本の株式市場へ参加を促す動きが見られなりそうです。あくまで、検討・要請の範囲内です。直ぐにでも、現行の「100株単位の売買」を止めて、米国と同様に「1株単位の売買」とすればいいだけの話ですが…。
以下、報道内容の要旨です...
東京証券取引所が最低投資金額(投資単位)について10万円程度まで引き下げを求めることで、上場企業の株式分割が加速しそうだ。投資単位を下げるには株式の10分割以上が必要になる企業も少なくない。
大幅な分割が広がれば、投資金額が高すぎて日本株を敬遠してきた新NISA(少額投資非課税制度)経由の個人マネーの流入も期待できる。
高すぎる投資金額が、個人の日本株離れを招いている...
「日本人が自国の素晴らしい企業の株を買いたくても買えない状況は本当にもったいない」「若年層はより少額から投資できる外国株に流れている」――。東証が今回踏み込んだ措置を取るのは、高すぎる投資金額が個人の日本株離れを招いているとの危機感が市場関係者の間で共有されているためだ。
2024年に始まった新NISAでは、若年層を中心にした個人の海外志向が浮き彫りになった。成長投資枠での月間買い付け額は10〜30代で5万〜10万円程度。70代の20万円前後とは開きが大きい。長期の株式保有が期待できる若年層の投資が、最低投資金額が小さい米国株や世界株投資信託に流れる傾向が強まっている。
東証は個人が望ましいと考える10万円程度の投資単位を意識し、企業に引き下げに向けた検討を働きかける。23日終値時点ではプライム、スタンダード、グロースの東証3市場全体で6割にあたる2277社が超えている。東証を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)株も15万円台で、対応が求められることになる。
10万円の取り引きを主体に市場を改善...
投資単位が上場企業で最も高いのはセンサー大手のキーエンスで587万円。昨年には700万円台にまで膨らむ場面もあった。株価の変動を考慮すると、10万円程度まで抑えるには少なくとも70分割程度が要る。10分割以上が求められる投資単位100万円超の銘柄も、半導体製造装置大手ディスコやゲーム大手のコナミグループなど3市場で30社ある。
東証が企業に投資単位の引き下げを呼びかけ始めたのは1990年に遡る。バブル経済下で株価が高騰するなか、株式市場における機関投資家の存在感も強まっていた。
バブル崩壊に伴う株価急落を受け、証券会社や機関投資家などでつくる諮問委員会が「個人投資家の株式市場離れに歯止めをかけるべきだ」との意見で一致し、株式分割を促すよう東証に求めた経緯がある。
その後も東証は対策に動いてきた。2001年には上場規程で「望ましい投資単位」を50万円未満と定め、努力義務を課してきた。22年10月には東証を傘下に持つJPXがホームページ上で投資単位が100万円を超える企業名を公表し、東証の山道裕己社長(現JPX最高経営責任者=CEO)名で株式分割を呼びかける異例の措置を取った。
株式分割に上場企業は進む...
その効果はあり、22年に96件どまりだった株式分割の発表は23年に162件、24年に211件と急増した。25年もすでに66件とハイペースが続く。特に、投資単位が50万円を超える銘柄で分割の動きが目立つ。
ファーストリテイリングは22年12月、およそ21年ぶりの株式分割を発表した。1株を3株に分ける措置で投資単位は800万円台から下がった。23年5月にはNTTが25分割と異例の規模の株式分割を決めた。NTT株の投資単位は40万円程度から1万円台にまで下がり、株主の年齢層が大きく若返った。
個人投資家を増加させる = 米国株投資を減少させる
10万円程度への引き下げ要請は新NISAで買える株式の増加につながり、個人の長期投資を促進する制度の趣旨にもかなう。金融庁幹部は「(株式分割が進めば)個人が投資できる商品が増え、ポートフォリオの多様化にもつながるので、資産運用立国に資すると思う」とした上で「企業にとっても株主層が広がることによって株価の一方向の動きが減り、株価の安定に寄与する」と評価した。投資単位の引き下げは、上場企業が個人投資家との距離をさらに近づけるための重要な一歩となる。
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