「リベンジ」を果たすことに、残りの人生を捧げている人がいる…
Yahooニュースなどを読むと、トランプ大統領を「ざまあみろ」的な論調で断罪して、著者が喜んでいる記事に至るところで出会います。
根底には「好きか、嫌いか」が横たわっていて、これで事の白黒を決めるのが当然の雰囲気です。判断材料を読者に提供するのがマスコミの役割だと、スパッと割り切っている記者や編集者など今や皆無になりました。何処のマズゴミでも超エリート様が大好きで、その説を拝聴するのが仕事だと思っています。自分より学歴のない、金儲けの上手い人間を毛嫌いするのがマズゴミなのです。
尋常高等小学校卒総理大臣の故田中角栄氏
嘗て、最終学歴が尋常高等小学校卒であった故田中角栄元総理は、このことに憤慨した側近に対して、次のように諭したとのこと。「記者が俺の悪口を書いて、その新聞や雑誌が売れるなら、それはそれで良いじゃないか。彼ら・彼女らも飯を食っていかなくてはいけないし、養わなければならない妻や子供、親もいるだろう」と…。
事実、トランプ大統領に関する記事は引くて数多で、読者の反響も大きいです。但し、トランプ大統領自身が故田中角栄氏のように、世相に達見しているとはチト考え難いですが…。憎しみが人を奮い立たせることは本当ですが、これって双方とも大変疲れます。
故田中角栄氏と新聞記者...
田中角栄と新聞記者とがまつわる話をもう1つほどして筆を置きます。嘗て、田中氏の政策秘書を23年務めた「早坂茂三氏」がいらっしゃいます(下の写真、向かって田中氏の右側の方)。一時は日本共産党にも入党した早稲田大学政治経済学部新聞学科卒業のバリバリ学生運動の闘士です。危険思想を持つ者として朝日・読売等の大手新聞社から就職を拒否され、マイナーな「東京タイムズ」にようやく拾われた政治記者です。
この彼が、ひょんなことから田中氏の大蔵大臣秘書官事務取扱に就任します。初日、省庁挨拶回りの日、田中氏は大臣室で彼に「お辞儀をしてみろ」と命じます。早坂氏はとおり一遍のお辞儀をすると、田中氏は烈火のごとく彼を叱りつけ「ダメだ。そんなものはお辞儀ではない。お辞儀とはこのようにするのだ!」と90度近く腰を曲げて、見本を示します。
「いいか、よく聞け。お前は元新聞記者だが、今日からはこちら側の人間だ。新聞記者は何でもかんでも書きたがるし、実際に書く。更に、頼んでもいないのに配って歩く。そのような人間を相手にするのが、これからのお前の仕事だ。お辞儀ひとつ満足に出来なければ、その跳ね返りは全て俺に飛んでくる...」。
大臣訓示とは...
普通の大臣であれば、秘書官就任の初日の訓示は「君、慣れない仕事だが、頑張ってくれ給え」で済ますところ、「大臣自らお辞儀の仕方の範を示していただき、強烈な訓示をいただいた」と後々、早坂氏は書籍内で回顧されていました。
故田中角栄氏に有ってトランプ氏にないのは、この【度量】なのでしょう。トランプ氏の暗殺未遂事件、紙一重で生死を分けた弾道曲線なるもの...。トランプ氏には運命的な強運が備わり、この世で生を受けています。田中角栄氏、秘書の早坂茂三氏、そして安倍元首相も既に鬼籍に入っていて、再び出会うこと適わずです。