ハイテク大手7社の「マグニフィセント・セブン」...

 欧州と中国の株式がアウトパフォームしているときに、S&P500種株価指数にさらなる上昇余地があるのか、投資家の間で「疑念」が広がっていると、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は指摘した。

 「S&P500種が最高値を更新するのに時間がかかり、それが難しくなればなるほど、疑念は大きくなる」とハートネット氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで発言。「欧州はうまくいっている。中国もうまくいっている。米国の債券すらもうまくいき始めている」と述べた。

 同氏は今年、米国株よりも国外の株式を推奨している。2023年に入ってからの米株上昇をけん引してきたハイテク大手7社の「マグニフィセント・セブン」が不安定になると見込んでいるためだ。

  投資家は大手テクノロジー株に関して決して悲観的ではないものの、トレードが「うまくいかなければ」、こうした銘柄は下落しやすくなると同氏は分析した。

人工知能(AI)への巨額支出を投資家が疑問視

  米国株は今年に入って、世界の株式に後れを取っている。高いバリュエーションや人工知能(AI)への巨額支出を投資家が疑問視していることが背景にある。S&P500種は年初から2%未満の上昇にとどまっているほか、マグニフィセント・セブンのバスケットは3.3%下落。一方、米国を除くMSCIオールカントリー・ワールド指数は7%値上がりしている。

 S&P500種が現行水準から最大6%下げて、5600-5700に沈んだ場合、市場はトランプ米政権による財政介入を期待する可能性が高いと、ハートネット氏は指摘。「株式市場はトランプ氏の信号機だ」と続けた。

元記事 : S&P500種に上値余地あるのか、投資家の懐疑論強まる-BofA - Bloomberg

マグニフィセント・セブンとは?

 「マグニフィセント・セブン」は、次に挙げた「米国株式市場を代表するテクノロジー企業7社」を指します。
  1. アルファベット
  2. アップル
  3. メタ
  4. アマゾン
  5. マイクロソフト
  6. テスラ
  7. エヌビディア
 これらの企業は時価総額が非常に大きく、株式市場だけでなく社会や経済に大きな影響を与えています。近年では特にAI技術と関連して脚光を浴びている企業群であり、投資マネーが集中しています。

なぜ「GAFA」ではなく、マグニフィセント・セブン?

① GAFA
 GAFA (グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)は巨大テック企業の4社の頭文字を取った呼称で2012年ごろから使われているようです。GAFAはITを駆使して私たちの生活になくてはならないプラットフォームを提供するなど、社会インフラの一部ともいえる役割を果たしています。また、4社の時価総額は2021年7月に日本の株式市場全体の時価総額を超えるなど、その影響力の大きさが窺えます。2018年の「ユーキャン新語・流行語大賞」候補にノミネートされるほど日本国内でも広く知られており、最も知名度のある呼称ではないでしょうか。

② GAFAM(ガーファム)
 GAFAM (グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)はGAFAにマイクロソフトを加えた呼称です。マイクロソフトはモバイル化やクラウド化の波に乗り遅れ、GAFAの台頭を許していました。しかし、3代目CEOとして就任したサディア・ナデラ氏のもとモバイル化とクラウド化を推し進め、マイクロソフトを復活に導いたことでGAFAに並ぶ影響力を持ちました。

③ FANG(/FAANG)(ファング)
 FANG(フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)はIT大手4社の頭文字を取った呼称です。2013年ごろに米国の人気株式評論家のジム・クレイマー氏が「熊(ベア=弱気相場)に噛みつく牙(英語でfang)になる可能性がある銘柄群」という意味を込めて、FANGを提唱しました。これまでの呼称と違いネットフリックスが入れられている理由としては、2013年当時日本ではそれほど知名度がなかったものの、アメリカ国内では動画配信サービスで高いシェアを誇っていました。そのため、当時新興であった動画配信サービス業界においてはSNSのフェイスブックやeコマースのアマゾン、検索のグーグルと同等の地位を確立しつつあったことで高成長が期待され、入れられたと考えられます。2017年ごろにはFANGにアップルを加えた FAANG という呼称も生まれました。

④ Magnificent Seven(マグニフィセント・セブン)
 Magnificent SevenはGAFAMにテスラとエヌビディアを加えた7社の呼称です。テスラはガソリン車からEV自動車への移行の期待を受けており、エヌビディアは生成AIブームに伴って提供するGPUの需要増加が期待されたことで徐々に株式市場での影響力を増加させていきました。そのため、EV化や生成AIブームといった時代の流れを反映して「GAFA」ではなく、「マグニフィセント・セブン」に移り変わったといえます。

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