人工知能(AI)関連の投資に関する一考察...

 至る所で、米国ハイパースケーラー(GAFAM企業等)が、日本の国家予算額を超える人工知能(AI)設備投資を行うと猫も杓子も報じています。
 次世代への設備投資、それはそれで間違っているとは言いませんが、各社が算出する累計見込み額が大きく異なっているのです。

人工知能(AI)関連の投資に関する一考察...

投資額の予測に大きな差がある...

 今般、GS(ゴールドマン・サックス)社は、独自の調査結果報告書の中で、「2027年のハイパースケーラーによるAI関連資本支出額は、約1兆1,000億ドル(概ね176兆1,400億円)にまで達する」と予測しています。

ハイパースケーラー各社の思惑...

 各社は、ユーザーの囲い込み競争を血眼になって繰り広げています。今、市場シェアを失うことは、将来に向けて致命的な打撃となり得るからです。
 前回の四半期決算報告時、META社のマーク・ザッカーバーグCEOも「ライバルの後塵を拝すると後がない。後悔するかも分からないがやるしか無い…」と、コメントしていました。経営者としての判断、回りには恐怖感が支配しています。

取り敢えず『投資する』…

 AI業界の本能は「今は取り敢えず投資し、後で整理する」というものです。しかし、多くのユーザーがより小規模の人工知能(AI)で「十分機能する(旧世代GPUでも)」と経験的・体験的に学んだ場合、大規模な過剰投資であった恐れになる可能性もあります。

META社のマーク・ザッカーバーグCEO

GSは、ウォール街を超える予測額を掲げる...

 ウォール街に参集するアナリスト達の予測額平均が約9,200億ドル(約147兆3,200億円)なので、GSの予測値はこれを30兆円程上回る水準です。
 更に続けて、「より楽観的なシナリオでは、最大1兆4,000億ドル(約224兆1,800億円)まで増加する可能性も捨て切れない」としています。何とも、天文学的な数値です。
 供給面では、すでに投資拡大が顕在化している。Google CloudとAmazon Web Services(AWS)の第4四半期合計受注残高は8,320億ドル(約133兆2,300億円)で、半年前の3,580億ドル(約57兆3,300億円)から急増したことが明らかになった。(梶原圭介

増価する背景を垣間見ると...

 AIモデルの使用量を示す「トークン消費」が増加傾向にあり、見通しでは2030年までに概ね24倍程増加すると見込まれています。この成長要因としては、企業向けAIエージェントの普及が背景にあることが挙げられています。
 GSは、AIの需給バランスが少なくとも2027年下半期にようやく整うと予想し、それまでは設備投資が高水準を維持する可能性が高いとしていますが...。

歴史的事例から導き出すと...

 そして、更にGSは続けます。『歴史的事例から、投資家がAI投資規模を過小評価している可能性がある』と指摘したのです。
 2026年時点での「AI関連投資はアメリカのGDPの約1.5%にとどまる」が、鉄道・電化・自動車など過去の産業投資ブームでは「GDPの約2〜3%にまで拡大した」ことが分かっている。(梶原圭介)

次の課題は、資金管理の重要性に移行する?

 これからの課題は、設備投資に要するコスト・資本の捻出(確保)にあります。数百億ドルの利益を毎期毎に計上するハイパースケーラー各社であっても、自社の手持マネーから充当せず、グーグルのように「800億ドル資金を増資で確保する」強者が現われるが如くです。
 他の一方策として、アンソロピック社は第三者からの借入等に対して、自社最大の出資者であるアルファベット社の「根保証を得て資金を確保する」といった具合です。

株価の過熱度合いに注意...

 一部のAI関連銘柄では、日米韓共に既にバリュエーション(株価)が急速に上昇して、過熱の兆しを見せています。直近の株価が、業績予想を大きく上回るペースで上昇しているため、市場の余震・変動リスクが高まっていると、GSは警告しています。

株式投資の一つの助言として...

 Palumbo Wealth Managementの創業者兼CEO兼最高投資責任者であるフィリップ・パルンボ氏は、「データセンターの拡張には物理的な限界があり、それが暴走的な拡大に対するブレーキとして機能している。AIが突然止まることはないが、その進展はスムーズでも即座でもない」と述べている。
 更に、「紆余曲折や変動、機会の変化が予想され、それにより絶え間ない見直しが求められるだろう。しかし、この移行期こそが、長期投資家にとって、現在よりも割安な価格で、将来性のあるAI関連優良企業に投資するチャンスを生み出す可能性があると考えている」と述べています。(ロイター)

編集後記

 この種の投稿記事に接すると、莫大な投資額を回収できるのか?減価償却をキッチリと処理できるのか?の懸念が、紙面に渦巻いているようです。
 そして、人工知能(AI)への設備投資の勝利者は、何社ほど見込めばよいのか?需給バランスに到達する時、投資の合計額をどれ程に見込んでいればよいのか?...に尽きるでしょう。