米国利上げで円高になれば、保有ドルは減価する?

 米国は利上げが確定的で、インフレ下に入っている日本では利上げが予定されています。こうなると、将来的に日米の金利差が縮小するのは確定的ですから、ドル・円の為替動向は『円高へ』が、ベクトルの向きになっています。今回、個人投資家の場合で、このドル・円の外国為替を取り上げて見ます。

米国利上げで円高になれば、保有ドルは減価する?

ドルを購入する場合、円高はOK...

 円貨からドル貨への転換(円でドルを購入)は「円高時に変換(購入)する場合であればOK」ですが、問題は「保有し続けているドル貨が減価する」ことです。
 つまり、1ドル150円の時点で購入したドル貨が、1ドル130円の円高になると、保有しているドル貨の円換算値が1ドルあたり20円の減価(評価損)となり、円貨に戻すと▼20円/ドルの損失(実損)が発生します。これなどは、ジタバタしても個人的に何も解決できない現象です。
 なお、これに反して円安が続くと、保有するドルは減価せずに逆に増価(評価益)します。

ドルを保有し続けると、刻々と円貨換算値が変わる

 詰まる所、保有しているドルの円貨換算値は、外国為替市場のドル・円相場の情勢(円高・円安)で刻々と変わります。嘗て、1ドル150円の時点で購入したドル貨が、1ドル130円の為替相場になれば、それは1ドル▼20円の減価となっているのです。

外貨の普通預金の場合は...

 外貨の普通預金でドルを持ち続けていて減価しても、何処からも・誰からも損失の補填はあり得ません。【逆に、円安で増価しても税の支払い等は不要です】
 ドルで保有し続けると実感として湧きませんが、一度円貨に戻す(ドルを売って円を購入する)時に、喜怒哀楽に愕然とすることでしょう。

ドル減価を受け入れる一方策

 円高方向へ向かうことが確実視されている場合、「ドル建てMMF(主に外貨建の公社債を投資対象としている投資信託)」を買い込むことも一案です。この場合、円貨で「ドル建てMMF」を購入するのではなく、保有している手持ちのドル貨で「ドル建てMMF」を購入するのです。

ドル建てMMF(主に外貨建の公社債を投資対象としている投資信託)

 上図の事例では、2025/09/08付で2500ドルのMMFを購入した時の報告書です。MMFの申し込み締め切りは、購入日の14時30分です。なお、2025/09/08の14時30分時点の(ドル・円)基準レートは148円08銭(SBI証券公表)です。MMF成約の上図報告書では、確定時の為替レートは149円47銭と記されています。
 この場合、成約した時点で(@148.08 - 149.47)×  2,500 = ▼3,475円 の為替差損(評価損)が発生している勘定になります。これはあくまで、伝票上の損益額です。そして、ドルベースでは何も変動がありません。ここが重要なのです。まとめると、
  1. ドル建てMMFは、保有ドルで購入した場合、保有期間に応じて日々単位で利息が付くので、売却時にはドル貨は必ず増加しますが、源泉所得税の計算はドル・円相場の動向で決まります。
  2. 購入時と比べて、円安になっていれば源泉所得税が発生しますが、逆に円高になっていれば損失額が発生しているので、税は非課税になります。
  3. そして、この損失額は「損益通算処理」で、配当等に係る源泉所得税の基になる額から差し引くことが出来ます(最大通算3年間)。
  4. まとめると、今回のようにMMF購入時に赤字となっていても、ドルベースでは利息が付いていても、ドル・円の為替動向次第で、源泉所得税が「非課税」となることが多々あります。
  5. よって、為替動向が大きく円高に向かうと思われる時は、ささやかな自衛手段として「ドル建てMMF」を活用すべきです。