個人投資家は、それでも買い続ける...

 米NY株式相場は、過去1カ月で目覚ましい回復を見せていますが、その立役者となってきたのは「幅広い銘柄に押し目買いを入れてきた個人投資家」です。

 一方で機関投資家は、「景気減速や貿易戦争激化への懸念から株式を敬遠」しています。米国から欧州へ資金を移動させているのも彼等です。

個人投資家たちは、それでも買い続ける...

 しかし、4月8日にNY株式市場が底を打ってからの1カ月間で、「S&P500種株価指数が14%上昇」する中、機関投資家の間でも株式市場にそろそろ戻るべきかどうか、また戻るとするなら、どのタイミングが望ましいか…等の議論が広がっています。

買い手として、市場へ戻り易いが...

 今、多くの投資家が極端にポジションを減らしているので、買い手として「株式市場に戻りやすい状況」が整っていることがあります。個人投資家の幅広い買いが続く中、短期的な株価上昇を妨げる要因は結構少ないのです。まとまった資金が株式市場へ投下されると、平均株価は一気に上昇カーブを描くことでしょう。その時、機関投資家は市場に参戦していなかったことを考えると恐怖を感じています。

FRBの利下げ機運が、遠退いているので...

 機関投資家達が重い腰を挙げ難い理由が、米国内の利下げ機運が遠退いていることにあります。誰が斜めに見ても、トランプ関税の影響で「年内の米国利下げ見通しが先延ばし」となっています。ウォール街では早ければ『6月の利下げ』を見込んでいましたが、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめとする当局者は、経済データでより明確な方向性が示されるまでは、「利下げ判断を保留する姿勢」を示しています。これは至極当然です...。

個人投資家に目を転じれば、それでも買い続ける...

 怒涛の如く攻め入っている【個人投資家を垣間見ると、彼らはFRBの動きやトランプ氏の貿易政策に「動じる気配はまったく見られない」です。
 バンク・オブ・アメリカによれば、同社顧客の個人投資家は5月2日まで、何と21週連続で米国株式を買い越しています。これは2008年まで遡れるデータでは最長記録です。『買って、買って、買いまくって』いるのです。
 某投資家は「貿易に関するトランプ氏の威嚇的な発言が絶えず飛び交っていて大変だが、それでも私は買い続けている」と語っています。

要は、今後の「米国株の上値余地」に尽きる...

商品投資顧問業者(CTA)も市場に戻りつつある...

 気を見るに敏なCTAも、個人投資家の参入動向にイライラし始めています。何故なら、米国株が大きく下がらないからです。
 CTAは、関税による不透明感で相場のボラティリティーが記録的に高まったの受け、今年の前半で米株を大半売っています。この状況で米国株が上昇し始めると、損失額が増加して、一気に巻き戻しが始まることでしょう。

要は、今後の「米国株の上値余地」に尽きる...

 これからどれ程、株価の回復力が市場に現われるのか、CTA自体もデータ片手に試行錯誤しています。市場では「S&P500種が5800に達する」と、CTAは買い手に転じるとみられています。この数値は、5月9日終値を約2.5%上回る水準です。
 同指数は2月19日に記録した過去最高値を依然として7.9%下回っている状況です。皆が『政治家のたった一言で状況が一変する』と語っているように、水溜まりに浮かんだ枯葉の如く、株式市場は揺らめいています。