株価急落を受けた「2025/04/04 朝の報道記事」...

急落、ダウ1679ドル安 トランプ関税で景気後退懸念

元記事 : 米国株式市場=急落、ダウ1679ドル安 トランプ関税で景気後退懸念 | ロイター

 米国株式市場は急落。トランプ米大統領が2日発表した広範な関税措置を受け、全面的な貿易戦争や世界的な景気後退を巡る懸念が強まった。

 ダウ工業株30種は1679ドル安。ナスダック総合約6%安、S&P総合500種約5%安となった。S&P500は2020年6月以来の大幅な下落率となり、構成銘柄の時価総額2兆4000億ドルが吹き飛んだ。ダウの下落率も20年6月以来最大。ナスダックは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で世界的に市場が混乱した20年3月以来の大幅な下げとなった。

 トランプ氏は2日、全ての輸入品に一律10%の基本関税を課した上で、貿易相手国の関税や非関税障壁を考慮し、国・地域別に税率を上乗せする相互関税を発表した。市場では他国の反応を巡る懸念から景気悪化見通しを反映し、ポジションを解消する動きが広がった。

 投資家の不安心理を示す恐怖指数(VIX)は、昨年8月以降初めて30ポイントを上回って終了。今後数日、値動きの荒い展開が予想される。ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループの中小型株ストラテジスト、スティーブン・デサンクティス氏は「依然として、答えよりも疑問の方が多い」と語った。

 この日は、ここ数年にわたって主要指数を最高値に押し上げてきた大型ハイテク株が大きく下げた。アップルは9.2%下落し、過去5年間で最悪のパフォーマンスとなった。エヌビディアは7.8%安、アマゾン・ドット・コムは9%安。市場では米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が高まっている。

 オールスプリング・グローバル・インベストメンツの債券チームのチーフ投資ストラテジスト、ジョージ・ボリー氏は「市場が織り込む利下げ回数が増えており、おそらく時期も早まっている」と指摘。6月の利下げはほぼ確実視され、5月に実施される可能性もあると述べた。

 米経済の健全性と金利見通しを探る上で、4日発表の雇用統計と同日に予定されるパウエルFRB議長の講演が注目される。

柳生十兵衛

株急落、トランプ関税で成長懸念

  • S&P500種は約290兆円の時価総額を消失、アップルの下げきつい
  • 円は145円20銭まで上昇、10月来の高値-10年債利回り一時4%割れ
 S&P500種株価指数は2020年6月以来の大幅安。構成銘柄は時価総額およそ2兆ドル(約290兆円)を消失した。トランプ大統領が前日に打ち出した大規模な関税措置がリセッション(景気後退)を引き起こすとの懸念が強まった。

 海外の製造業者にサプライチェーンを大きく依存している企業の株が特に売られ、アップルは9.3%安。同社は米国で販売する製品の大半を中国で製造している。中国には新たに34%の関税が賦課される。先に導入された分も含めると中国製品への関税率は合計で54%に達することになり、同国を中心に組まれたアップルのサプライチェーンに大きく影響するとみられる。

 トランプ関税は、世界のテクノロジー企業がいかにアジアのサプライヤーに依存しているかを浮き彫りにした。業界内でも特に広範なサプライチェーンを持つデル・テクノロジーズの株価は19%安。同社は、関税への対応として価格を調整する必要があるかもしれないとしている。

 ただ、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のテクノロジーアナリスト、アヌラグ・ラナ氏は「関税の影響を相殺するために各社が値上げするとは考えにくい」とし、結局は利益が圧迫される公算が大きいとの見方を示した。

 このほか、ベトナムで生産するルルレモン・アスレティカやナイキは、いずれも約10%の下げ。景気の影響を受けやすいエヌビディアやマイクロン・テクノロジーも下げ、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターなどの自動車メーカー株も下落。  

 ナティクシス・インベストメント・マネジャーズ・ソリューションズのポートフォリオストラテジスト、ギャレット・メルソン氏は「誰も逃れることはできない」と指摘。「少なくともきょうは、広範なリスク回避の動きに巻き込まれる」と述べた。

 大手銀行株で構成されるKBW銀行指数は9.9%安。1日の下げとしては2023年3月の地方銀行危機時以来で最悪となった。シティグループとバンク・オブ・アメリカ(BofA)はそれぞれ10%以上の下落。JPモルガン・チェースは一時7.5%安となり、時価総額にして500億ドル超が吹き飛んだ。

 シーポート・リサーチ・パートナーズのアナリスト、ジム・ミッチェル氏は「金融業界は関税への直接的なエクスポージャーはないものの、広範な関税引き上げが経済全体や活動の水準に与える間接的な影響を巡る不確実性とそれに伴う市場のボラティリティーは当面、銀行株の動きを左右しそうだ」と分析した。

 小型株も激しく売り込まれ、ラッセル2000指数は6.6%下落。2021年末に付けた過去最高値からの下落率は20%を超え、一般的に弱気相場入りの目安とされる水準に達した。同指数は昨年11月のトランプ氏の大統領選勝利後、最高値に一時迫ったが、それ以降は失速が鮮明になっている。

 小型株はトランプ氏が掲げる米製造業の復活から恩恵を受けるとみられていたが、むしろ見通しの立たない貿易政策によって、金属や原材料、労働力などあらゆるコストに関して不透明感が強まり、経営者の不安を高めている。

 ジョーンズトレーディングのチーフマーケットストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「関税と国際貿易の先行きに関する不確実性の増大が小型株の大きな重しとなっている」と指摘。「関税の目的である製造業の国内回帰は小型株の追い風になると期待されているものの、当面は大きな摩擦と不透明感が続くだろう」と述べた。

 トランプ氏が2日夕方に発表した関税措置の範囲と厳しさは、同氏が1期目に課した関税を大きくしのぐ。世界的なサプライチェーンを破壊し、景気減速を深刻化させ、インフレを押し上げるリスクがある。投資家は、今回の関税賦課が企業利益に及ぼす影響を見極めようと苦慮している。

  JPモルガン・チェースのエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は、今回の関税措置により今年の物価上昇率が最大1.5ポイント押し上げられる可能性があると試算し、個人所得と支出への重しになると指摘。

  「この影響だけで経済はリセッションに危険なほど近づく恐れがある」とし、「輸出と投資への追加的な打撃を考慮する前でも、こうした状況だ」とリポートに記した。

  BCAリサーチの米株式チーフストラテジスト、アイリーン・タンケル氏は、「短期的に関税が経済成長に悪影響を及ぼすことに疑いの余地はない」と指摘。「われわれはこの危機の第一段階を乗り越えてきた。これは金融市場にとって悪材料だ。第一段階は『不確実性のピーク』、次の段階は『企業収益の下方修正』になる」と述べた。