AIの将来...「仮説的リポート」が浮き彫りに!

The Wall Street Journalからの引用です。
 ハイテク株が上位を占め、人工知能(AI)の先行きに神経質になっている市場では、株価を大きく変動させるのにそれほど多くのことは必要ない。
 しかし23日に起きた出来事ほど、現在の米株式市場の敏感さを浮き彫りにするものはない。ダウ工業株30種平均が800ドル下落した要因の一つが、7000語の仮説的なリポートだったのだ。

 シトリニ・リサーチのリポートは、AIに関する新たな懸念に触れ、技術革新がホワイトカラーの知識労働における底辺への競争を招く暗い未来像を描き出した。ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)の過剰支出への懸念は過去のものとなった。ソフトウエア業界のディスラプション(破壊的な変化)への懸念はまだ十分ではない。「グローバル・インテリジェンス危機」が到来しようとしている。
 新たな、より広範な疑問は次のようなものだ。AIは経済にとって非常に強気な要因だが、実際には弱気要因だったとしたらどうなるか。

 シトリニは、同リポートは予測ではなく2028年6月を想定したシナリオだと説明した投稿に、「近代経済史全体を通して、人間の知性は希少な投入要素だった。私たちは今、そのプレミアムの解消を経験している」と書き込んだ。

 23日の値動きの多くは、シトリニが概説した状況とほぼ一致していた。その状況では、急速に進歩するAIツールが各業界でのコスト削減を可能にし、ホワイトカラーの大量失業を引き起こし、ひいては金融危機を招くという。

 ソフトウエア企業のデータドッグ、クラウドストライク、ゼットスケーラーはそれぞれ9%超下落。IBMは13%安となり、1日の下落率としては2000年以来の大きさを記録した。シトリ二が名指ししたクレジットカード大手アメリカン・エキスプレス、プライベートエクイティ(PE)投資会社のKKR、投資会社のブラックストーンも急落した。

 こうした不安は、米国政府の貿易政策を巡る新たな不確実性と相まって、23日の米国の主要株価指数を押し下げた。ダウ平均は前週末比1.7%(822ドル)安、S&P500種指数は1.0%安、ナスダック総合指数は1.1%安で取引を終えた。

 AIによるディスラプションへの懸念はここ数週間、ソフトウエア、プライベートクレジット、保険、ウェルスマネジメントといった分野で広がっている。今月に入り、かつてカラオケ機器メーカーだった企業がトラック輸送を効率化する新しいAIツールを宣伝したことを受け、運輸株は過去最大規模の下げを記録した。しかし、それらの多くはその後すぐに下落分の大半を取り戻し、一部の投資家は市場が過敏になっていると評した。

 ガンマロード・キャピタル・パートナーズのジョーダン・リッツート最高投資責任者(CIO)は、AI関連のディスラプションの価格形成は「ほとんどの人が予想していたよりも早く進んでいる。加速するテクノロジーとはそういうものだ」と述べた。

 投資家は23日もエネルギーや生活必需品といったセクターに資金を振り向けたが、これらのセクターは主要株価指数における比重が比較的小さい。リッツート氏はまた、ディフェンシブ銘柄の人気が高まっていることは、ウォール街が今後の見通しについてより慎重になっていることを示唆している可能性があると指摘した。

「どのような種類のローテーションを望むか注意すべきだ」と述べた。

 ドナルド・トランプ米大統領は週末、最高裁が先週、違法と判断した多くの輸入税に代わる新たなグローバル関税を15%に引き上げると発表した。これにより貿易協定や進行中の協議にさらなる不確実性が生じたものの、多くのアナリストは経済への影響は比較的限定的だと考えている。

 エドワード・ジョーンズのストラテジスト、アンジェロ・クルカファス氏は「投資家にはトップニュースに過剰反応しないようアドバイスする」と述べた。

2026/02/24 米国の主要株価指数(過去3営業日)
米国の主要株価指数(過去3営業日)

 それでも、関税還付を待っている企業や、新規投資を計画している企業は影響を免れない可能性がある。カジュアル衣料小売り大手アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ、高級アパレル大手ラルフ・ローレン、アウトドア用品メーカーのイエティ・ホールディングスといった貿易摩擦に敏感な銘柄は23日に急落した。物流・運輸関連企業も同様に下落し、ダウ・ジョーンズ運輸株平均は2.8%安で引けた。

 投資家の安全資産への逃避を受け、債券は上昇した。10年物米国債利回りは23日に4.026%で取引を終え、昨年11月下旬以来の低水準となった。貴金属も再び上昇に転じた。金先物の期近物は2.9%高の1トロイオンス=5204.70ドル、銀は5.2%高の同86.52ドルとなった。

 23日の市場変動は、AI関連の高ボラティリティーの続きだった。マクロおよびテーマ別株式調査によってニュースレター配信プラットフォーム「サブスタック」で多くのフォロワーを獲得している小規模な調査会社であるシトリニは新しい投稿で、ソフトウエア企業、決済処理業者、その他の企業は「ホワイトカラーの生産性向上と相関性のある長いデイジーチェーン」を形成しており、AIがこれを破壊しようとしていると指摘した。

 近年、テクノロジー業界に巨額の融資を行ってきたプライベートクレジット企業も23日に打撃を受けた。ブルー・アウルは3.4%安、アポロ・グローバル・マネジメントは5.0%安で引けた。ウォール街の大手銀行から地方銀行に至るまで、金融機関も幅広く売られた。

 UBSのアナリストは先ごろ顧客に対し「信用の観点から言えば、主要なリスクはディスラプションの存在そのものではなく、そのスピードだ。12カ月以内に急激なショックが起これば契約上の保護が破られる可能性もあるが、われわれは数年にわたる調整の可能性の方がはるかに高いと考えている」と語った。

 料理宅配大手ドアダッシュの株価も23日に6.6%下落した。シトリニがサブスタックへの投稿でドアダッシュについて、「対人摩擦を収益化する企業を新しいツールがいかに覆すかを示す代表例」と評したことが背景にある。シトリニのシナリオでは、AIエージェントはドライバーと顧客の両方が今よりはるかに低いコストで料理宅配を行うのを支援するとされている。

 ドアダッシュの共同創業者アンディ・ファン氏は、シトリニに応答する23日のソーシャルメディア投稿で、「エージェント型コマース」の台頭により、同社はAIエージェントと実世界の販売業者の両方に機能する形で進化する必要があるとした。

 「足元の地面が揺れている。業界はそれに適応する必要がある」と書き込んだ。